イギリスの冬を誰かに紹介するなら、まず伝えるべきことがある。それは最近のロンドンではほとんど雪が降らないという事実だ。氷点下になることも滅多にない。冬の気温はだいたい5度から10度くらい、夏は15度から25度くらい。暖流と偏西風のおかげで、イギリスは一年を通じて気温の変動がそれほど激しくない温暖な気候に恵まれている。
しかし、今日は少し特別だった。ロンドンの気温は珍しくマイナス3度まで下がり、さらに北に位置するスコットランドのエディンバラではマイナス10度という数字を記録したという。3日後には、偏西風の影響でエディンバラの気温が12度まで跳ね上がるという予報も出ている。なんとも奇妙な話だ。同じタイミングでロンドンは9度止まりになる予定だから、緯度の高いスコットランドの方が、1月の真冬にロンドンよりも暖かくなるなんてことが起きるらしい。
氷点下のロンドン
寒い。ただ、それだけだ。ロンドンは風がない分、穏やかで気分を害されるほどではない。むしろ、雨が降り、風が吹きつける5度から10度の悪天候よりも、氷点下に下がった今日は、晴れた空が広がっていてずっと気持ちが良い。寒さに耐えるのは簡単ではないが、日光が心の奥にほんの少し温もりを与えてくれる。
街の中を歩いていると、まだ車の上にはうっすらと雪が残っているのが見える。それでも、12月末の冬至を越えた今、日の光が少しずつ長くなり始めているのを感じる。午後4時にはすっかり暗くなっていたのが、最近では4時半まで光が残るようになった。たった30分の違いが、こんなにも気分を変えてくれるとは思いもしなかった。
春への希望
イギリスの冬は暗く、重い。それはただの天気の話だけではない。この季節は、心の中に黒い影を落とすことがある。しかし、今、日差しの延びる感覚が私の心を少しずつ軽くしているのを感じる。春は確実に近づいている。
もう少しの辛抱だ。暗黒の世界から抜け出す日は、もう遠くない。その時が来たら、私は再び光の中を歩き出し、新しい季節に向けて、ゆっくりと心を開いていくのだろう。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から778日目を迎えた。(リンク⇨777日目の記事)』
最近の記事
おすすめの記事
Comentários