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冬の寒さが厳しくなるにつれて、私の仕事もまた厳しさを増していく。仕事は季節に大きく影響される。1月と2月はことさら厳しい。冷たい風が吹くたびに、仕事の予定表は白紙のままページをめくられていく。
当然のことながら、収入もない。収入がないということは、子供たちの食卓に並ぶものを考える時間が増えるということだ。今のところ、彼らは何も気づいていないように見える。私が慎重に振る舞っているからだろう。でも、本当のところは分からない。子供というのは、思った以上に鋭く、思った以上に優しい。
売れない芸人が経済的な理由で家族を失う話を聞くことがある。笑いを届けるはずの人間が、笑えない状況に追い込まれていく。誰にとっても他人事ではないのかもしれない。私も、ふとした拍子に、そんな物語の登場人物になってしまいそうな気がする。
「このままでは崩壊してしまうかもしれない」と考えないわけにはいかない。でも、私は今のところ崩壊していない。何とか持ちこたえている。まだ暖房もついているし、食卓には食べるものがある。夜になれば家族が揃って、他愛もない話をしながらテレビを見ている。かろうじてバランスを保っているのだ。
春は、いずれ来る。そう信じている。暖かい風が吹いて、街の空気が柔らかくなる日が。仕事が増えることを期待している。でも、それが本当に訪れる保証はどこにもない。
厳しい2025年の冬。私はその底を歩いている。歩きながら、春の気配を探している。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から801日目を迎えた。(リンク⇨800日目の記事)』
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