あるお笑い芸人のネタに
「人に自慢できること何かある?」
「俺、トトロ一回も観たことない。ほとんどの人がトトロを見てしまった中、俺にだけ観る権利、観ない権利両方残ってる」
「なんやねん、その自慢」(笑)
というネタはご存じの方も多いかもしれないが、その権利を38歳にして行使した男がここにいた!
宮崎駿監督の作品は日本国民に親しまれてきて、映画「となりのトトロ」は1988年の公開以来、34年間、公共テレビの再放送が何度もなされ人口の9割以上がその映画を観たと言われていて、周りで「トトロを観たことない」という人はまず聞いたことなかった。イギリスで言う、ジェームスボンドの007映画を一個も観たことないに匹敵する感覚である。
その彼だが、今週末の自分の誕生日にガールフレンドから渡されたミュージカルのチケットが、今ロンドンに来ているトトロミュージカル(2022年10月8日〜2023年1月21日、ロンドン バービカン)だった。ガールフレンドはチケットを購入した時点で、彼がトトロを観たことない事実は把握していたのは疑問だが、トトロミュージカルチケットの入手は困難で、彼女は、ミュージカルホームページの閲覧を1日10回チャレンジしてチケットが取れず、それを10日間繰り返してやっとの思い出チケットが購入できた。
トトロを観るにあたって、34年間(彼が4歳の時に映画公開)一度もトトロを観たことない彼は、話の内容、まずはトトロとは何か?を把握するために「トトロを観る権利」を生まれて初めて行使したのである。
(あの、お笑いのネタの人がここにいた!)と私は驚きと感動だった。
その彼はアナと雪の女王(映画Frozen 2013年公開)のミュージカルも先日観に行くためにその映画を初めて観た言っていた。彼が映画を観ない人であることは明らかで、漫画も本もなく映画から始まる原作が、ミュージカルで作られてそれを観るということは、まずは映画を観てからミュージカルを観るという行動が強いられる。
映画を観ない人にはかわいそうな気がするが、映像から原作が始まるストーリは、多く存在する。それだけ世界の人々は、本ではなく、まずは2Dの画面からストーリーを把握しているということだ。ビジネス戦略としてもそれでヒットした作品を3Dのミュージカルで客寄せを行っている。
本→ミュージカルよりも、映画→ミュージカルの方が客も視覚で取り込んだイメージをそのまま劇場で生かすことができるから一般受けするのだろう。
今回トトロを観る権利を38歳(トトロ公開34年後)にして生まれて初めて行使した彼、お誕生日おめでとう、そしてぜひトトロミュージカルを楽しんでほしい。
(終)
〜はる〜
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