ロンドンを訪れたある親子が「ストーンヘンジに行ってみたい」と言った。ストーンヘンジ。何千年も前に築かれ、今もその本来の目的は謎に包まれている場所だ。パワースポットとして知られ、人が引き寄せられるように集まる場所でもある。気まぐれな秋晴れの中、その親子はストーンヘンジでしっかりと「力」を感じ取ったようだった。そして彼らは、もうひとつのスピリチュアルな観光地、グラストンベリーを訪れたいとも言った。
グラストンベリーには、「聖杯」があると言われるチャリスウェルの井戸や、アーサー王が最後に辿り着いたとされるアヴァロンの丘、グラストンベリートーがある。訪れる人の多くが「力」を感じるという、イギリス屈指のスピリチュアルスポットだ。その親子は、祖父母の魂を見て成仏させた経験があるらしい。何かが見えるのだと言う。そんな彼らがこの場所に立つと、やはり特別な力がそこに存在しているのだと感じるのだろう。パワーストーンを多く扱う店では、成功を祈願していくつかの石を手に取り、まるで何かの儀式でもするかのようだった。
やがて、彼らはグラストンベリートーの頂上にそびえるミハエル教会の塔跡を訪れた。ケルトの魂が天と繋がるとされるその場所に、紫色の光がふわりと現れ、廃墟の中に今もどこか強い生命の気配を感じさせた。
イギリスにはこうした場所がいくつもあり、時代を越えてさまざまな言い伝えとともに存在し続けている。この親子は静かに満足げな様子で、今日という一日を心から楽しんでいたようだった。
文：はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり（当日）の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から７０９日目を迎えた。（リンク⇨７０８日目の記事)』
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