アラフィフで小学生と中学生の子供を持つサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退社。その後の就職活動が難航中。無職生活157日目を迎えた。(リンク⇨156日目の記事)
前回の「特殊詐欺の全貌が明らかに 前編」の続き。
男性の携帯電話の着信番号と、手元にあった銀行カードの裏面に書いてあるサービスデスクの電話番号が一致したため、この男性は、完全にこの電話は銀行からであると信用した。
そして銀行員は「電話番号が正しいと言うことが確認できましたね?それでは急いで残高を別アカウントに送金しましょう。」と催促してきた。
男性は、送金の額が大きいので最後の最後までためらったが、自分のアカウントがハッカーたちに襲われて、今すぐにでも全額引き抜かれると心配して、手際よく送金の手順を始めた。
男性はネットバンキングの自分のアカウントを開いて、銀行員からもらった彼のマネージャーが作ったという新しい口座番号、そしてマネージャーの名前、送金目的をホリデーと入力した。男性は以前から、友人などに送金をしたことがあったので手順には問題なく送金の承認ボタンまで辿り着いた。
ここで男性は指を止める。
2500ポンド. . .
巨額のお金を一気に送る行為にはためらいがあった。
最後に承認ボタンを押す時、手はやや震えていたが、自分のお金を守るという意志が強く、最終決断を下し承認ボタンを押した。
すぐさま自分のアカウントから2500ポンドがなくなったのが確認できた。
すると銀行員は「それでは次の2500ポンドを送金しましょう!」
男性は先ほどと同じ手順で簡単にこなした。
そして2度目の2500ポンドが自分のアカウントからなくなったのが確認できた。
ここで男性は一旦我に返って「私の新しいアカウントへ送金したお金が届いたか確認したいのですが、どうやってログインできますか?」と銀行員に聞いた。
銀行員「確認は全てが終了してからにしましょう。とりあえず次の2500ポンドを送金してください」
男性「いや、一旦、確認したいので新しいアカウントへのログイン方法を教えてください」
銀行員「大丈夫です。信用してください。ほら、着信の電話番号は銀行のサービスデスクからと確認できましたよね?私は◯◯銀行の銀行員です。安心して送金してください。」
自分の新しいアカウントに送った5000ポンドを確認したい男性は、流石にこれだけの大金を送ったので、自分のアカウントを目で確認したいと願っていた。
ここでようやくこの男性は、この銀行員がもしかすると詐欺師なのかもしれないと疑い始めた。
そして、もう一度、携帯電話の着信番号と、銀行カードの裏面に書いてある電話番号を確認してみた。
携帯電話の着信番号 0120999901230123
銀行カードのサービスデスクの番号 012099901230123
あれ?何か違うぞ!この時に男性は背筋が凍る思いだった。
番号がそっくりに見えるけど一桁多かったことに気づいたのである。
男性はこの銀行員が詐欺師だと気づき、5000ポンドを失ったショックで話すことができなかったが、まずはこの電話を切ろうと、強制的に電話を切った。
そしてすぐ銀行カードにあるサービスデスクへと電話をした。
本物と思われるサービスデスクの銀行員が電話に出た。そこで男性は先ほど起きたことを説明していたのだが、その電話の間も仕切りなしに詐欺師が電話をかけてきた。この時はもう着信番号などどうでもいいと思ったのか、全く見知らぬ番号でしつこく5回ぐらい電話をかけてきた。男性は無視し続けた。
男性は、本物の銀行員に状況を説明して、送金を止めてほしいとお願いした。しかし、承認ボタンを本人が押したと確認できた場合、送金してしまったお金の引き戻しは不可能となっていた。
結局、男性は、一瞬にして5000ポンドを失ったのである。
**********************
後日談ではあるが、その男性は銀行の救済で半分は取り戻したのだが、それ以上は戻ってこなかった。しかし、こういった詐欺行為で銀行のアカウントから失ったお金は、第三者の仲介を経て交渉が可能であるそうだ。
最終的には、9ヶ月の月日を経て、この男性は全額を銀行から返済させることができた。
特殊詐欺からの連絡が来た時の注意点・対処方法
怪しい携帯電話のテキストやメールについているリンクは開かないこと。特に公共機関からと思われるメッセージには要注意。
人に頼まれて銀行口座内のお金を動かすことは決してしないこと。
怪しいと思った電話は、メールで確認したいなどと告げて一度切ると良い。ややこしいと思ったら無言で強制的に切っても構わない。
銀行からと言われたら、一度電話を切ってから自分から銀行の電話番号へと電話をする。
(終)
〜はる〜
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