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いつ頃からだろう?
気がつくと、私は毎朝10時になるのを待ち構えていた。2024年の10月からだから、もう4ヶ月ほど続けていることになる。狙いは、ロンドンの「オペラ座の怪人」のミュージカルの当日券。それも、半額近い値段で手に入る良い席だ。
ルールは単純だ。毎朝10時、公式サイトで限られた枚数の当日券が放出される。しかし、それはほんの5分ほどで売り切れてしまう。チャンスを掴むには、インターネットの波を誰よりも素早く乗りこなす必要がある。
まずは、以下のリンクを開く。
すると、画面の真ん中に「当日券購入」のボタンが現れる。迷っている暇はない。すぐにクリックし、名前とEメールアドレスを入力する。そして、メールボックスを開き、承認ボタンを押す。
ここまでは順調だ。
だが、ここからが勝負となる。
サイトにアクセスが集中すると、次のページが開かなくなることが多い。そのときに諦めてはいけない。画面に向かってただ祈るのではなく、何度も、何度も、指示された箇所をクリックし続ける。10回、あるいはそれ以上。そうすれば、ようやく座席表のページに辿り着けることがある。
そこからは素早さが求められる。
一階席の後方(15〜20列目あたり)の中央部分には、まだ空席があることが多い。そこを狙う。
時折、3席並んでいる場所で2席を選ぶと、「もう1席も購入してください」というメッセージが出ることがある。しかし、慌てる必要はない。そのまましばらく待っていれば、他の誰かが残りの1席を取ってくれることがある。そうすれば、2席分だけ購入することが可能となる。
手続きを完了するまでの制限時間は10分。だが、冷静に進めれば十分な時間だ。
こうして私は、ついに念願の「オペラ座の怪人」のチケットを手に入れた。通常67.5ポンドの席が、わずか37.5ポンド。
今日は、そのチケットを手に、子供と2人で観に行く予定だ。
劇場の扉が開き、幕が上がる。そして、あの幻想的なオルガンの音が鳴り響く。長いこと待ち望んだ瞬間が、ようやく訪れようとしている。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から796日目を迎えた。(リンク⇨795日目の記事)』
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