Xさんは学生時代、夏休みの2ヶ月間を利用して友人とヨーロッパ旅行に出かけた。長い旅の中で、2週間以上も一緒にいるとお互いの細かな癖や、意見の違いが目につくようになり、時には口論も起こる。そういうこともあって、私はいつも旅の理想的な期間は10日間くらいがいいと考えている。
とはいえ、Xさんの場合は運が良かった。2週間ごとに日本から別の友人が加わり、グループが変わることで関係が程よくリフレッシュされ、結果としてうまく2ヶ月を乗り切ることができた。そんなXさんの友人も、今では27歳で結婚することになった。そうなると、当然ながらパートナーとの時間を優先することになる。つまり、Xさんが一緒に旅に出かけられる友人も少なくなっていく。
日本では、27歳くらいが最初の結婚適齢期のピークだと言われている。22歳で大学を卒業し、数年働き始めて、25歳あたりから恋愛が本格的になり、27歳で結婚する。このパターンは、特に珍しいものではない。そして、27歳で結婚していない人は、自分に何か問題があるのだろうか、と多少のプレッシャーを感じることがあるようだ。
さらに大学院まで進学すると、卒業が24歳になり、その後は5年スパンで29歳で結婚するケースが多い。つまり、27歳で未婚、そして29歳でも未婚だと、次第に本人は焦り始める。30歳を過ぎると、35歳、40歳と時間は加速し、独身生活はまっしぐらに進んでいく。(ちなみに日本では結婚適齢期は男性が31歳、女性が29歳程度と言われるが、イギリスでは男性39歳、女性37歳とかなりの差がある。)
しかし、独身生活にも良いことはある。自分の時間を自由に使えるという大きな利点があるからだ。ただし、寿命が短くなるという統計も存在するという。結婚して子供を持てば、20年以上の子育てが待っている。その過程で、独身者よりも寿命が長くなることがある。しかし、生活の質という点で見れば、独身者と既婚者の幸福度はそれほど違いがないようにも思える。自分のやりたいことに集中できるという点では、どちらもそれなりに価値がある。
子供の成長を楽しめることが、既婚者にとってのプラスだろう。だが、子供との間に生じるトラブルも避けられない。だから、子育てが本当に良かったと心から言える親ばかりではない。
Xさんは今、27歳。これからどの道を選ぶのかは、もちろん彼自身が決めることだ。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から697日目を迎えた。(リンク⇨696日目の記事)』
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