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インフレに慣れているイギリス人、そうでない日本人



コロナの影響で人手不足による物流の滞り、戦争での原油、エネルギー価格高騰で物価上昇(インフレ)が今起きているのは、我々庶民にとって肌身で感じることができるわかりやすい問題である。


世界各国の中央銀行は2008年のリーマンショックから長期に渡って金融緩和、いわゆる低金利政策を続けてきた。EUやスイスではマイナス金利に、そしてイギリスでもほぼ0金利にまで金利は下がっていた。しかし、現状の世界同時インフレ加味して、低金利政策に終止符を打ち始めた。みんなが回れ右をして一斉に金利引き締め(金利の上昇)を始めたのだ。


我々の一般庶民は、この世界各国の中央銀行の利上げを見て「何が起きてるの?何か大きな問題でも起きるの?え?住宅ローンが爆上げ?」と心細い声が聞こえてくる。


じゃあ、どのぐらい住宅ローンが上がるの?


例を挙げると、おおよその目安ではあるが、


£100,000(¥16,000,000)を借りていて金利が1%上がると月々の返済が£50(¥8,000)上昇することになる。2%で£100(¥16,000)上昇となる。£200,000、£300,000になると2倍、3倍となる。


昨日もイングランド中央銀行が0.25%の金利引き上げを実施して政策金利が1.25%と13年ぶりの高水準となった。金利引き上げの背景には英国の物価が前年比8%前後の上昇を続ける中、インフレ懸念を見据えての判断であるが、物価上昇8%に対して政策金利1.25%は低水準に見える。政府が0.25%しか上げられないのは、一気に金利を挙げると国民への混乱を招くからだ。金利上昇でメディアは連日インフレ懸念を取り上げているが、たった0.25%の上昇は、住宅ローンを抱えている我々にとっては献身的な金利引き締めだと思われる。


周りのイギリス人を見ていると、インフレ、金利上昇は非常に冷静に受け止めている感がある。ガソリンの値段が上がっても文句も言わず車を乗ることをやめたりはしない。食費が上がっても高級スーパーマーケットは賑わい、レストランは混んでいる。学費に当たってはインフレが始まる前から年々の価格上昇は認識していて、それを淡々と支払い続けている。旅行もやめる気もなくホリデーが終わると、すぐに次のホリデーの計画を立てる。


この国の人間はインフレに慣れているようで、金利も15年前までは5%あったから、1%が1.25%に引き上げられたからといってそれほど動揺はしないのである。





一方、日本では、金融緩和、0金利政策を継続する方針だが、ガソリン価格、物流価格の高騰、資源輸入国の円安によるインフレがじわじわと庶民を襲ってきている。それに対して庶民がインフレが怖いと思うのは貯金大国の日本であるからである。直近30年間、デフレ(物価低迷)しか経験したことない日本に、その間インフレもデフレも両方経験した先進国につられて、ついにインフレが襲いかかっている。


デフレの時代で日本の平均給与額は30年変わらず、庶民はインフレ対策の「投資」をせず、デフレ対策に最適なに貯金をしてきた。


インフレが起きると現金の価値が下がるので、外国につられてインフレが起きている日本では、これから20−30年で生計を立てていく人には、インフレ対策とは何かを理解しなければならない重要な時期となる。


長引く政府の金融緩和、コロナ、戦争の有事、インターネットビジネス、半導体の技術革新といろんな要素が溜まりに溜まって始まった2022年のインフレだが、我々庶民は自ら仕事を成功させて給料が上がって、支出が増えたという好景気によるインフレの感覚ではない。「格差社会」の中間から下にいる大多数の人はそう思っているだろう。


イギリス人の中間階層ではインフレによってどんどん格差社会の下に押し下げられているが、それはそれで受け止めて、少なくとも2022年現在はインフレが大きく生活を左右するほどではなく、生活の水準を変えずに今を楽しんでいるように見える。


〜はる〜


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