通常、イギリスの空港でeGateを利用できる条件というのは、いくつかの基準に合致した場合だ。まず、パスポートに生体認証シンボルがついていること。そして年齢が10歳以上であること(ただし、10歳から17歳までは成人の同伴が必要だ)。さらに、英国市民やEU加盟国、オーストラリア、カナダ、アイスランド、日本、リヒテンシュタイン、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、韓国、スイス、米国の国民、あるいは「登録旅行者サービス」のメンバーであることも条件となる。IDカードでの渡航者には、このeGateの利用は許されていない。
ところが、私のパスポートは8年前に作ったもので、残念ながらその表紙には生体認証シンボルがついていない。加えて、私はイギリスの永住権を取得しているが、それはIDカードとして発行されている。だからこそ、イギリスに入国するたびに、eGateを通らずに入国審査官と直接対面して、パスポートにスタンプを押してもらうという手続きが必要なのだ。
eGateの列は見た目ほど混雑していないことが多く、意外とスムーズに流れる。大行列に見えても、10分ほど待てば順番が回ってきて、その頃にはちょうど荷物がベルトコンベアで回り始める、というわけだ。だが、私の場合はいつも入国審査官の列に並ぶことになる。運が良ければすぐに進むが、時には複雑な手続きが必要な入国者が前にいて、なかなか進まないこともある。そうなると、eGateの大行列よりも遅くなることも珍しくない。
便利そうなeGateを横目で見ながら、イギリスのパスポートを取得することに少し興味をそそられる瞬間もある。しかし、私は日本のパスポートを失いたくない。だから、これからも入国審査官に会ってスタンプをもらい、少し古めかしいけれど、どこか懐かしい手続きの中でイギリスに戻ることになるだろう。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から702日目を迎えた。(リンク⇨701日目の記事)』
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