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二月は、どうにも相性が悪い。
2020年の2月、世界は新型コロナウイルスの広がりに驚愕していた。静かに、しかし確実に拡大し、あっという間に日常を飲み込んでいった。
2021年の2月、ロックダウンの真っ只中。思い返しても、何をしていたのかほとんど覚えていない。記憶の中からすっぽりと抜け落ちている。まるで誰かが、僕の人生のテープをそこだけ上書きしてしまったかのように。
2022年の2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始した。
ちょうどその頃、私はイギリス人の夫婦がウクライナの避難民を受け入れた話を書いていた。歴史のうねりの中で、私はただ、それを記録し、書き留めるだけだった。
同じ日、イギリスはコロナ規制を解除した。国境は再び開かれ、人々はマスクを外し、恐る恐る深呼吸をした。
2023年の2月、私は就職活動の真っ最中だった。面接を受けては落ち、また受けては落ちる日々。いつしか、これは試練ではなく、ただの消耗戦なのだと感じ始めていた。
そして2024年の二月、過去のブログを読み返してふと思った。もしかして、あのとき私はうつだったのではないか。そんなことを考えながら、私は過去の自分が書いた記事を見つけた。
まるで誰かにアドバイスするふりをして、本当は自分自身に言い聞かせていたのかもしれない。
この数年、二月は決して良い記憶を残してはくれなかった。
でも、ふと思う。もしこの二月を乗り切れば、何かいいことが起こるのだろうか?
そう信じながら、少しでも気温が上がり、雲の切れ間から太陽が顔をのぞかせる日には、自分に言い聞かせる。春はもうすぐそこだ。
イギリスの冬は、単なる季節ではない。これは長く、暗いトンネルのようなものだ。十一月から二月までの四ヶ月間、人々はただじっと耐え、息を潜める。
この期間にどこかへ行くことができれば、もう少し楽に生きられるのかもしれない。
でも、それが叶わないなら、この四ヶ月間をどう過ごすかが鍵になる。
もしそれを乗り越える方法を見つけられたら、私はもう少し、自然に笑える日が増えるのかもしれない。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から817日目を迎えた。(リンク⇨816日目の記事)』
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