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反抗期と偏食、そして「料理」という果てしない戦場



10代の頃というのは、何かとお腹が空くものだ。そして、お腹が空くと機嫌が悪くなる。それ自体は特に珍しいことではない。ただ、空腹への耐性がついていない子どもにとって、それはちょっとしたカタストロフのようなものになる。そして、もしそれが反抗期と重なるとしたら、事態はさらにややこしくなる。


私の娘も今、反抗期の真っ只中だ。さらに偏食だ。たとえば、何か食べ物を提案すると、「そんなの食べたくない」と頑なに拒否されることが多い。私はできるだけ娘が食べられるものを考え、手間暇をかけて食事を準備する。それなのに、娘は食べても食べても「まだお腹が空いている」と訴える。

そしてある日、とうとうこんなことが起きた。


娘はある夜、特に機嫌が悪かった。私はそれをなだめるために、娘の大好物であるパンケーキを提案した。だが彼女は、こちらの期待を裏切るように「そんなの食べたくない」と言い出したのだ。

「だったらおにぎりを作ってあげればよかったのに」と、今になって思う。でもその時は、彼女の突然の拒否に気を取られて、そんなシンプルなアイデアさえ浮かばなかった。

結局、娘は拗ねて部屋に戻り、その後は静かになった。諦めたのか、それとも何か別のことに気を紛らわせたのかは分からない。ただ私は、その静けさの裏に、自分の無力さを痛感していた。


娘には食物アレルギーもある。そのため、簡単に「これを作ればいい」という選択肢が常にあるわけではない。例えば、サンドイッチ。チーズが嫌いだから無理だし、ハムのような加工食品もあまり与えたくない。

冷蔵庫を開けると、そこにあるのは私の悩みの種ばかり。家族それぞれが食べたいものが違う中で、何を優先すべきか、毎日が小さな戦争だ。


私は最近、自分の食事に関しては、もはやどうでもいいと思うようになった。冷蔵庫の余り物で適当に済ませる。子どもたちが少しでも食べられるものを揃え、それに少しアレンジを加えて、自分が口にできるものをなんとか作る。

でも、そんな日々の繰り返しには正直うんざりしている。料理が好きなわけではないし、毎日続くこの義務感に押しつぶされそうになることもある。


料理から解放される日が来るのはいつだろう? 子どもたちが自分で料理できるようになるのを待つしかないのだろうか。それとも彼らが家を出て、自分の人生を歩み始める日を待つべきなのか。

その時が来たら、私はやっと自分だけの食事を楽しむことができるだろう。好きなものを、好きなタイミングで。そして誰にも文句を言われることなく。


文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から746日目を迎えた。(リンク⇨745日目の記事)』


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