タッチ決済 生まれて初めてのお買い物 イギリスの「はじめてのおつかい」は何歳から?
- haruukjp
- 7 days ago
- 4 min read

子どもとキャッシュレス時代 ― イギリスで育つということ
ふとYouTubeのアルゴリズムが流してきたのは、日本の人気番組『はじめてのおつかい』だった。小さな子どもが、よたよたとスーパーに向かう。時には玉ねぎを落とし、時には道を間違える。でもそれは、どこかで見たような、心がほろりと温かくなる光景だった。
だけど、そのすぐあとに、ある考えが頭をよぎる。
「これ、イギリスだったら通報されかねないかもな」と。
『はじめてのおつかい』と、イギリスの価値観のあいだで
イギリスには「何歳から子どもを一人にしていいか」という明確な法律はない。それでも、12歳未満の子どもを長時間一人にしてはいけないというガイドラインが存在するし、16歳未満の子どもを一晩ひとりぼっちにするなんて、もってのほかだ。
だから、たった5歳や6歳の子どもがひとりでおつかいに出るなんて――イギリスの基準では、それは「自立」ではなく、「リスク」と受け止められてしまうかもしれない。
自立とは何か?現金はどこへ消えたのか?
我が家でも、子どもが12歳になるまでは、携帯電話も持たせず、単独での外出も控えさせていた。その頃の「自由」は、まだ少し先のものだった。
だけど時は流れ、子どもたちはそれぞれの足で歩き始めた。友達とコンビニ的なお店に行って、チョコレートやジュースを買ってみたい年頃になった。
ひと昔前なら、私は財布から小銭を取り出して手渡していただろう。でも今のイギリスは、すっかりキャッシュレス社会だ。現金が使えるお店はまだあるけれど、「カードのみ」と貼り紙のある店も少なくない。
子どもにカードを持たせるという選択肢
そこで私は、子どもたちにトップアップ式のデビットカードを持たせることにした。私が選んだのは「Revolut(レボリュート)」というカード。
クレジットカードではないので、使えるのはチャージした金額まで。残高がゼロになれば、当然のように支払いもできない。使いすぎを防げる仕組みだ。
子どもがカードで何かを買うと、私のスマートフォンに通知が来る。どこで何を買ったか、何に使ったかが、まるで風の便りのように届く。
海外旅行にも強いRevolutの魅力
このRevolut、海外旅行にも抜群に便利だ。子どもが自分のポンド残高から、ユーロやドルなどの外貨に即時で両替できる。しかも、手数料はごくわずかで、レートも良心的。
使わなかった外貨は、またポンドに戻せる。財布にジャラジャラと小銭を残す必要もない。スマートで、シンプルで、そして少しだけ未来的だ。
便利さの裏にある、小さな危うさ
もちろん、便利なものには「落とし穴」もある。子どもたちは自由を手に入れたと同時に、少しずつ甘い誘惑にも手を伸ばしはじめた。
――チョコレート、アイスクリーム、グミ、そしてまたチョコレート。
気がつけば、Revolutの利用履歴は、まるでお菓子日記のようになっていた。
だから私は、時折スマホの通知を見ながら、そっとつぶやく。
「今月は、グミはちょっと控えようか」と。
終わりに:異文化のあいだで、育つということ
『はじめてのおつかい』を見ながら思う。日本には日本の、イギリスにはイギリスの子育てがある。文化が違えば、常識も変わる。それは「正しい・間違い」という話ではない。
子どもに必要なのは、自由と、少しの制限。そして、ほんの少しのチョコレートだ。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から858日目を迎えた。(リンク⇨857日目の記事)』
最近の記事
おすすめの記事
Commentaires