イギリスでは1月も半ばを過ぎ、冬至からひと月が経った。ほんの少し前まで、午後4時には外が真っ暗になり、まるで世界全体が何かに包み込まれたように感じていたものだ。それが今では、ロンドンでも午後4時半まではライトなしで外を歩けるくらいに明るさを取り戻してきた。この季節の変化はどこかささやかな喜びを運んでくる。
やがて日が一気に長くなる3月末には、夏時間が始まる。そうなると、夜の8時、時には9時まで明るい日々が訪れる。長い冬を抜け出したイギリスで暮らす人々にとって、この移り変わりは毎年感じる特別な体験だ。12月のクリスマスが終わり、1月の重く暗い日々を越えると、そこには闇から解放されるような何とも言えない高揚感がある。それはまるで、長いトンネルの向こう側に光が差し込み始める瞬間に似ている。
季節と心の波
日本の春とも少し重なるものがある。4月、新しい環境でのスタートに胸を躍らせ、5月にはそのエネルギーが一層膨らむようなあの感覚に近いかもしれない。春は自然が生き生きとする季節であり、心もどこか弾む。イギリスの冬から春への移行も、紅葉が色付くように静かで美しい気持ちの変化をもたらすのだ。
この季節の高揚感は歓迎すべきものだが、同時に気を引き締める必要があるとも思う。私生活において、健康を維持すること、自分自身のリズムを崩さず生活すること。そのバランスが何よりも重要だ。冬の終わりは新しいことを始めるには絶好のタイミングだ。心も身体も準備が整い、これまで停滞していたものを動かす力が自然と湧いてくる。
新しい挑戦を
これからの季節に、私は自分自身の新しい挑戦を探したいと思う。今年は私にとって節目の年でもある。何かを始めるのに遅すぎることなど決してない。季節の移ろいがそう教えてくれるように、自分の中の小さな「変化の芽」を大切に育てていきたい。
イギリスで迎えるこの季節は、暗闇から抜け出し、光が戻ってくる瞬間を肌で感じさせてくれる。新しい光の中で、新しい何かが始まることを期待しながら、今日も少しだけ早く伸びた日の明るさを楽しんでいる。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から790日目を迎えた。(リンク⇨789日目の記事)』
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