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アートディーラーが歩くロンドン、60万円のウィスキー



ロンドンという街には数多くのギャラリーが点在している。そのどれもが、路地裏や高級繁華街にさりげなく店を構えていて、そこではアートが特別な光を放っているように見える。特にメイフェアと呼ばれるエリア。ここには老舗ホテル「クラリッジズ」があり、そこにはかつて日本の天皇やイギリスの首相だったチャーチルも宿泊したという伝説がある。このエリアにギャラリーがあるだけで、どんな絵でも不思議と輝いて見えるものだ。


もちろん、すべての作品が名作というわけではない。時に、特に目立つところのない作品が、場所と雰囲気によって過大に評価されることがある。しかし、それでお客が財布を開けば、ビジネスとしては成功だと言えるだろう。それでも、真のアートディーラーの目はごまかせない。優れたものは優れているし、そうでないものは、そうではないと一目でわかる。ギャラリーに足を踏み入れずとも、ディーラーはその店が持つ美術品の価値を即座に見抜くことができるのだ。


イギリスでは、時に50億円を超えるような絵画が密かに富豪たちの間で取引されている。そんな非現実的な額に比べれば、ロンドン市内のギャラリーに並ぶアートはそれほどの高額ではない。とはいえ、一般人にとっては十分に高価だ。例えば、オブジェや彫刻が1000万から4000万円という値段で展示されているのを見かけることもある。


今回訪れたアートディーラーは、残念ながら心に深く刺さる作品には出会えなかったらしい。購入は見送りだ。しかし、その代わりにクラリッジズのバーで口にした「ポートエレン」というウィスキーが気に入ったのだという。そして、その足でウィスキー専門店へ向かい、なんと60万円ほどもする一本を買っていった。私には到底手が届かない世界だ。


アートを通じての感動がなかったとはいえ、ウィスキーで得た喜びがその日の収穫だったのだろう。それもまた、ロンドンらしい一日と言えるのかもしれない。


文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から693日目を迎えた。(リンク⇨692日目の記事)』


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