top of page

イギリス25年目の再発見

Writer's picture: haruukjpharuukjp


気がつけば、イギリスに住んで二十五年目に入っていた。人生のほぼ半分をこの国で過ごしているのだから、そろそろ「イギリスに住んでいる」と胸を張って言ってもいい頃かもしれない。

それでも、サラリーマン時代の私は、イギリスの外ばかりを見ていた。ロンドンを出るならヨーロッパ大陸へ。週末の短い休暇を利用してフランスやイタリア、スペインへ飛び、異国情緒に浸るのが何よりの楽しみだった。イギリス国内を旅しようなどとは、思いもしなかった。

それが変わったのは、皮肉にもコロナがきっかけだった。海外旅行ができなくなり、仕方なく国内を巡るようになった。そして私は初めてスコットランドの広大な高原を歩き、ウェールズの険しい山々を眺め、イギリスという国の持つ圧倒的な自然の美しさを知った。

イングランドにも、歴史ある村や建物が無数に点在している。千年もの時を刻んできた古い教会やマナーハウスに足を踏み入れると、この国の歴史がゆっくりと流れ込んでくるような気がした。

こんなにも魅力的な国に住んでいながら、それに気づいていなかった。灯台下暗しとは、まさにこのことだ。

それに本当の意味で気づいたのは、ここ二年ほど、アテンドの仕事をするようになってからだった。観光客を案内するために、イギリス各地の名所を巡る日々。かつて見向きもしなかった場所を改めて訪れ、そこに広がる風景の豊かさに驚かされる。教会、マナーハウス、古い村々、城、そして白い断崖が連なる海岸線——どれもが、圧倒的な存在感を放っていた。

二十五年目にしてようやく、私はこの国の魅力を心から理解した気がする。単に「住んでいる」だけではわからない、歴史の重みと奥行き。それを間近に感じられることの幸せ。

これからもまだ、行ったことのない素晴らしい場所がきっとあるはずだ。私はそれを探しに行きたいと思う。




文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から818日目を迎えた。(リンク⇨817日目の記事)』


最近の記事




おすすめの記事



Comments


United Kingdom

  • Twitter

©2022 by 独り歩き浪人の詩 はる HARU. Proudly created with Wix.com

bottom of page
PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 最高の人生へ
にほんブログ村